ソテツ科ソテツ属

 ソテツ科はソテツ属一属。
 ソテツ科の植物は他のソテツ類同様に雌雄異株。幹は地上に円柱形に伸びるものと、卵型で地中性のものがある。葉は幹の頂端にのみ付き、太い中央脈に小葉が付く「羽状複葉」。

 ソテツ科植物の小葉は一本の中央脈がはっきりしている「単一脈」である。ザミア科ではイチョウ同様の「二又脈」なので、この点において、ソテツ科とザミア科が区別される。

 ソテツ科植物の小葉は、多くの場合、分岐しない一本の主脈であるが、いくつかの種では小葉が分岐する。小葉が分岐するソテツには以下のものがある。
 Cycas multipinnata , Cycas debaoenis , Cycas bifida , Cycas micholitzii

 


Cycas revoluta

和名:ソテツ   
学名:Cycas revoluta Thunb.   ソテツ科 ソテツ属
自然分布:九州(宮崎県以南)・琉球・台湾・中国大陸南部

 日本では、ソテツは庭園樹木として利用されている。「静岡県吉田町・能満寺の蘇鉄」「大阪府堺市・妙国寺の蘇鉄」など10件が国指定の天然記念物となっている。
 日本でソテツが庭園樹木として植えられるようになったのは室町時代からで、山口の豪族・大内氏は京都にソテツを移植している(飛田範夫『日本庭園の植栽史』京都大学学術出版会、P163-165,P183-184)。大内氏は明や琉球などと貿易をしていたので、貿易船によって渡来したものだろう。
 南国や古代を思わせる樹姿なので、庭木や鉢植えなどとして人気が高い。このため、現在、台湾や中国の観葉植物産地で大量に栽培されている。

 ソテツの実や幹のデンプンは食用にすることが可能だが、毒を含んでいるため毒抜きが必要である。庭木のソテツの実を犬が食べて死亡するなどの事故も起きている。奄美名物の蘇鉄味噌はソテツの実を発酵させることにより毒抜きしている。



撮影場所:国立科学博物館 筑波実験植物園




国立科学博物館 筑波実験植物園の名札
ソテツ(Cycas revolta)は台湾にも分布している
新宿御苑 大温室前の名札
ソテツ(Cycas revolta)は台湾にも分布している
ソテツの実。  しなびている。
国立科学博物館 筑波実験植物園にて

ソテツに実がなっているところ(撮影場所:熱川バナナワニ園)
 ソテツの雌花は幹の頭頂につくが実が成長するころになると
中心部を割るように新しい葉が生えてくる。
その結果、左写真のように葉の周りに実がついた格好になる。
ソテツの雄花(撮影場所:熱川バナナワニ園)
 



 ソテツの原産地はどこだかわからないが、かつて琉球王朝では、ソテツの栽培を奨励したので、奄美・沖縄・八重山にわたって、たくさんのソテツが自生している。ソテツには毒があるので、そのまま食べることはできない。しかし、ソテツは救荒作物として栽培され、何らかの方法で毒抜きをして食用にされた。
 発酵を利用して毒抜きをして味噌として利用したものは、現在でも奄美や沖縄で生産されている。左写真は沖縄・粟国島特産のソテツみそ。普通の赤味噌とあまり違わない。


Cycas taitungensis

和名:タイワンソテツ   中国名:台東蘇鉄   
学名:Cycas taitungensis C.F.Shen & al    ソテツ科 ソテツ属
分布:台湾東部   
IUCNレッドリスト:EN(絶滅危惧種 危機)

撮影場所:熱川バナナワニ園分園屋外

タイワンソテツはソテツ(Cycas revoluta)に似ている タイワンソテツの雄花
ソテツ(Cycas revoluta)の雄花そっくり

タイワンソテツの葉の拡大。

 タイワンソテツとソテツ(Cycas revoluta)はよく似ている。
 タイワンソテツの葉は、ソテツの葉に比べて、クッタリしている感じがする。また主脈と小葉の角度がタイワンソテツとソテツとでは異なることが多い。比較すると、タイワンソテツの葉には光沢が少ないなとの違いがある。

 Cycas taitungensisを日本では「タイワンソテツ」と言うが、中国では「台東蘇鉄」と言い、学名もこれに従っている。1990年代ごろまでは、中国南部に自生する Cycas taiwanianaと同種とされていた。


Cycas siamensis

和名:シャムソテツ   
学名:Cycas siamensis Miq.    ソテツ科 ソテツ属
分布:インドシナ(タイ北部、ミャンマー、ラオス、カンボジア、ベトナム) 
IUCNレッドリスト: VU(絶滅危惧種)

撮影場所:国立科学博物館 筑波実験植物園

写真中央がシャムソテツ 葉の付け根部分拡大 雌花が咲いている



Cycas panzhihuaensis 

学名:Cycas panzhihuaensis L. Zhou et S. Y. Yang    ソテツ科 ソテツ属
中国名:攀枝花蘇鉄    攀枝花とは中国四川省成都から雲南省昆明に至る幹線道路沿いの地方都市の名前。
分布:中国四川省、雲南省の主に石灰岩地に自生する   
IUCNレッドリスト: VU(絶滅危惧種)

撮影場所:熱川バナナワニ園分園屋外
 このソテツは結構珍しい種のはずなのに、屋外にあるのでちょっと驚いた。自生地の緯度は台湾程度なのでソテツ類としては比較的高緯度であり、標高が高く、ある程度低温になる環境なので、寒さには比較的強いのだろう。




Cycas circinalis 

和名:ナンヨウソテツ   
学名:Cycas circinalis L.    ソテツ科 ソテツ属
分布:東南アジア、太平洋諸島、インド南部、スリランカ、東アフリカなど熱帯地方に広く分布する。   
IUCNレッドリスト:EN(絶滅危惧種 危機)

撮影場所:新宿御苑 大温室


ルンフソテツと似ている。ルンフソテツのことをナンヨウソテツということもある。


Cycas rumphii 

和名:ルンフソテツ   
学名:Cycas rumphii Miq.    ソテツ科 ソテツ属
分布:ニューギニア、インドネシアなど オーストラリア北部からマレーシア   
IUCNレッドリスト:NT(準絶滅危惧種)

撮影場所:国立科学博物館 筑波実験植物園 雌花
撮影場所:熱川バナナワニ園(分園)



Cycas micholitzii

学名:Cycas micholitzii    ソテツ科 ソテツ属
分布:ベトナム、ラオス、中国南部の熱帯林に生育する       
IUCNレッドリスト: VU(絶滅危惧種)

幹は地中生で、小葉が2、3回分裂する独特な形をしている。

撮影場所:熱川バナナワニ園(本園) 撮影場所:熱川バナナワニ園(分園) 雌花(白い点は害虫のカイガラムシだと思う)
撮影場所:熱川バナナワニ園(分園)



Cycas media

学名:Cycas media    ソテツ科 ソテツ属
分布:オーストラリア

撮影場所:熱川バナナワニ園


Cycas seemannii

学名:Cycas seemannii A.Braun    ソテツ科 ソテツ属
分布:フィジー、ニューカレドニアなどの南太平洋の島々   
IUCNレッドリスト:VU(絶滅危惧種)

撮影場所:熱川バナナワニ園


Cycas simplicipinna

学名:Cycas simplicipinna    ソテツ科 ソテツ属
分布:タイ、ミャンマー、ラオス、ベトナム   
IUCNレッドリスト:NT(準絶滅危惧種)

撮影場所:熱川バナナワニ園


Cycas multipinnata

学名:Cycas multipinnata C.J.Chen & S.Y.Yang   ソテツ科 ソテツ属
中国名:多岐蘇鉄    注:「岐」の文字は中国では止め編を使う。また「蘇鉄」の文字は中国簡体字では字体が異なる。
分布:中国・ベトナム国境地帯   
IUCNレッドリスト:EN(絶滅危惧種 危機)

下の写真は、熱川バナナワニ園分園ソテツ温室で撮影したもの。C520の名札がついていたが、種名を示す表示はなかった。Cycas multipinnataの雰囲気があるが、本当にそうかどうかわからない。

小葉は多数に分岐する

ソテツ類の葉は幹から太い軸が出て、軸に多数の小葉がつく羽状複葉になっている。ソテツ科の植物の葉脈は、小葉は中心に一本の主脈がある単一脈であり、ザミア科の植物には主脈がない。ザミア科の植物の葉脈は二又また分岐することがあるので、イチョウ同様に「二又脈」に分類される。



中国が発行したソテツ図案の切手

 1996年、中国に自生するソテツ4種類を図案とする切手が発行された。

ソテツ
Cycas revoluta     
Cycas panzhihuaensis
四川省、雲南省に自生
Cycas pectinate
インド北部、カンボジア、タイ、
中国など広く分布する
Cycas multipinnata
中国南部からベトナム北部に
自生する希少種



フィジーが発行したソテツ図案の切手


 2012年、フィジーはCycas seemanniiを図案とする切手を発行した。
 このソテツは、フィジー、ニューカレドニアなどの南太平洋の島々に分布する。


最終更新 2017.3


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